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HOME >HEAT20 設計コンペティション>2015> HEAT20 [U-30] 第2回 地域に暮らす 住まい設計コンペ【結果発表】
「HEAT20第2回U-30 地域に暮らす住まい設計コンペティション『密集住宅街に建つ家』」の審査結果の 発表。2/19に、審査規定に基づき厳正なる審査を行い、 優秀賞2点、学生賞1点を決定いたしました。残念ながら最優秀賞に該当する作品はありませんでした。 3/24のHEAT20報告会において、表彰式が行われました。
<審査会風景> <審査員(一部)と受賞者>
<結果発表>
<講評>

【総評】 坂本雄三委員長
関心の高さはあったようだが、敷地条件が難しかったのか、実際に提出された応募作品が少なかったのは残念。外皮性能の工夫より、個性が発揮される意匠的、建築計画、住まい方の設計提案に、いつも期待をしている。断熱の考え方の浸透はまだまだ不十分なので、今後もこういった設計コンペを継続していきたい。

【環境デザイン上の観点から】 鈴木大隆主査
3作品とも概ねG2水準を満たすものと推定される。AE-Sim/Heatで再現できる部分を出来る限りモデル化してシミュレーションした結果、暖房負荷(EB)は平成25年基準レベルと比べ約30~50%減少、冬のNEBはHEAT20 G2グレードシナリオに対して概ね満足し、夏のNEBは平成25年基準レベルと比べ極端な悪化傾向はなかった。

【建築計画上の観点から】 服部郁子建築家委員
密集住宅街での計画のあり方、敷地特性や住まい手への応え方、法規の適合性、提案性、デザイン性等について総合的に評価した。狭小敷地では1階の居室の有効採光面積を確保するのが難しい。窓は、外皮性能や採光・通風と密接に関わるが、形状や配置なども合わせて考え、法規と両立する工夫が必要である。


 ※ 敬称略。以下「優秀賞」は応募登録順です。
「東京間間間」 岡庭建設株式会社(団体)  持田 麦 ・ 堀内 克起
【提案コンセプト】



[ 設定地域 ] : 東京・多摩地域の住宅密集地
●最小限の空間が最大限の省エネルギー
 昨今の異常気象を考えると暖房負荷は元より夏期の冷房負荷は日常的に必要であると考えられます。ただし季節ごと一日の気温の変化を考えると冷暖房補助が必要な時間は限られてくると考えます。そこで私たちが考える住宅は冷暖房負荷を減らすために家族構成に合った無理のない最小限のLDK空間を用意し、必要な時に必要なだけの空間操作・制御ができる仕組みが最も効率の良い省エネルギー対策になると考えました。
●自然エネルギーを生かすこと=基本性能
 自然エネルギーを最大限活用し、冷暖房負荷を限りなく減らすことがこれからの住宅に求められる基本性能と考えます。冬期:ロフト集熱と縁側集熱が暖房負荷の軽減に期待できます。夏期:庭空間と土間空間にかけて冷やされた空気が居間に運ばれることにより冷房負荷の軽減が期待できます。

 空気や熱の流れをさまざまのシーズンで考えられているコンパクトな間取り。今回の応募作品に緩衝空間の提案が多かった。緩衝空間は狭小敷地の場合、住宅の狭さが強調される傾向にあるが、本作品は、季節に応じて融通性を持たせている点が評価できる。

【審査員コメント】 鈴木大隆主査
空気や熱の流れをさまざまのシーズンで考えられているコンパクトな間取り。今回の応募作品に緩衝空間の提案が多かった。緩衝空間は狭小敷地の場合、住宅の狭さが強調される傾向にあるが、本作品は、季節に応じて融通性を持たせている点が評価できる。

応答する外皮・呼応する空間  友枝 遥 (個人)
【提案コンセプト】  1.日照条件、計画条件(場所は東京<気候区分「6」>)に応答するための外皮の細分化と性能割り振りを本計画の端緒とする。2.そして、設定した外皮が受ける外的影響と外皮が内部に及ぼす内的効果を捉え、そこから快適な生活が生み出されていくような空間計画を行う。
 このように外皮細分化による気候へ応答するデザインからその外皮に呼応する内部空間の計画という設計プロセスによる空間操作が本提案の主題である。~具体的には、日射取得量から、南西部に関しては、南部にガラスを多用、南側屋根にはソーラーパネル、西側の壁は断熱性能の高いプラスチック系断熱材による外壁断熱パネルによるものとする。南側ガラス部分は内側にさらに一層ガラス間仕切りを設けダブルスキンにすることで、環境性能の高い居室を維持する。このダブルスキンによる中間領域を動線空間とし、ホームパーティ等でも外部の人が入りやすい入口計画とする。これらにより2Fのリビングは、視覚的、動線的により開かれた空間となる。北東部に関しては、防音性、耐久性を考え、外壁通気工法による大壁とし、1F北東付近にプレイベート空間を固めるようにする。~このように、外皮分割・使い分けとともにデザインすることは、即物的にも性能過剰にもならないような適確な環境計画を行うことができ、その外皮設定をベースに行われる内部空間の利用計画は、より環境に適した設計を行うための計画手法の一つになると思われる。
【審査員コメント】 鈴木大隆主査
グリッドを採用しながら、その中に様々な要素空間を取り入れている緻密な設計である。グリッドが十分に活かされているとはいい難い点が残念であるが、個性的な外観であり、力作である。

地球熱利用のいえアースチューブを埋設した前橋のエコハウス 茂呂将崇(個人)
【提案コンセプト】  建設地域は群馬県前橋市に設定する。前橋の気候は内陸性を帯び、 年間の平均気温は15℃程度だが、気温差は大きい。夏期は気温が高く40℃近くにまで達する。冬期は「赤城おろし」や「上州のからっ風」と呼ばれる冷たく乾燥した強い北風が吹くが、晴天日が多く十分な日射が得られる。
 本設計ではこのこうな気候かつ北、東、南側に住戸が隣接する密集地域でも安定して利用が可能な“ 地球が持つ熱” すなわち「地中熱」に着目し、アースチューブの導入を検討する。取入外気は蓄熱体としても利用する外断熱コンクリートベタ基礎直下に埋設されたアースチューブを通過し、予冷・予熱されて床下空間に運ばれた後、1 階床の設けられた吹出口から室内へと給気される。アースチューブの効果については、同様な気候条件の群馬県太田市における実測調査から日平均で最大7.3℃の予冷効果、10.7℃の予熱効果が確認されている(アースチューブ長さは約15m、埋設深さはGL より約400mm)1)。厳夏期・厳冬期においては床下に設けられた空気熱源の高効率ヒートポンプ式エアコンにより導入外気をさらに冷却・加熱する。また、建物南側に設けられたチムニーにより上下の風道を生み出す。チムニー上部の開口の採光はもちろん、夏期は解放することで速やかな排熱を行う。
 さらに、日射が期待できる2 階は太陽光のダイレクトゲインにより暖房負荷の削減を図る。夏期は庇とハニカムロールスクリーンにより日射を遮り、もともと隣棟の影響で日射の影響が少ない1階は温度が上がりにくいので、1 階を寝室にして前橋の暑い夜においても最小限のエネルギー消費に抑える。
【審査員コメント】 鈴木大隆主査
学生賞の枠がなければ優秀賞候補になったであろう作品。地味な外観ではあるが、いろいろな機能が考えられ、真面目に設計されている。夏と冬の仕組みをイメージしながら地中熱を利用した作品である。

(社)日本木造住宅産業協会 硝子繊維協会
HEAT20